患者さんの励みになるのは家族だけではなく、一緒に戦ってくれる専門職の人なのかもしれない

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困難にとらわれるのではなく、今に正面から向き合い「出来ること」を探す

作業療法士13年目
ALSやパーキンソン病などの難病の患者様を主に担当
・いつかは大好きなパン屋さんでアルバイトや養護施設でボランティアを

ーーーあなたの仕事の内容を教えてくださいーーー

作業療法士として13年目になります。(この間に3回の育児休暇を取得しています)
作業療法士とは身体や精神に何らかの障害をきたした際にリハビリを行う専門職です。作業療法士が働く場所は様々な分野(身体障害、老人、精神、小児など)がありますが身体障害の分野で働いています。
現在の勤務している病院は療養型医療施設であり、私はALSやパーキンソン病などの難病の患者様を主に担当しています。
1日に10人程度の患者様の病床を周ります。寝たきりの患者様に関節が硬くならないように動かしたり、座る練習をしたり、肺炎予防や褥瘡予防など。
また人工呼吸器などを利用し会話ができない患者様には文字盤を使って会話をし入院生活についてや体のことなどの悩みを聞き対応するなど精神面のサポートをしています。
日常のリハビリ業務に加えて日々のカルテ記載や様々な書類業務、院内でのカンファレンス、患者様の住宅訪問などの業務があります。

ーーーあなたの仕事の成功体験を教えてくださいーーー

数年前、パーキンソン病を患った男性の患者様を担当していました。
もともとの気質として発達障害ももっていた方で院内生活もストレスを強く感じているようでした。
そんな中、お見舞いに来てくださる奥様が
「まめさん(仮名)とのリハビリの時だけ表情が違う。ほっとしているよう。」とよく言ってくださいました。
疾患による障害で自宅に帰ることが難しく、長期の入院でした。そしてその患者様が亡くなりました。
後日、奥様からお電話をいただき
「まめさんに担当してもらって本当に良かったと思います。最後までかかわって下さりありがとうございました。私もリハビリの様子を見ていて自分がリハビリをしてもらうようになったらまめさんにしてもらいたい。今後ともご活躍してくださいね。」とおっしゃって頂き、今でもしんどい時は思い出して励みにしています。
とても仕事にやりがいも感じました。

ーーー仕事で苦労した経験を教えてくださいーーー

長く関わっていく患者様の病状の悪化を見続けなくてはいけないことやお亡くなりになることも多く、将来への不安や精神的負担を強く感じる時があります。
そんな時は、漠然とした将来の不安や悲しい結末ではなく「今」に目を向け「今、できること」「今のいいところ」を探します。

ーーー人生の将来設計を教えてくださいーーー

55歳まで作業療法士を続けます。(子供の進学によってはもう少し長くするかもしれませんが)その後は大好きなパン屋さんでアルバイトをしたり、地元の養護施設のボランティアをしたりしたいです。

ーーーそう語ってくれたまめさん。難病の方のリハビリはとても長期にわたり、かつ必ずしもいい方向に進むとは限らないことが多いと聞きます。そんな中、前を向いて良いのか不安な患者さんと寄り添いながら、それでも今できることをと一歩一歩ともに進んで仕事に取り組む姿は、きっと患者さんからも心強く映っていたのではないかと思います。

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